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マテリアル設定によるアニメーション

  

マテリアル設定を変えて変化をつける

この記事では、マテリアル設定を変えて変化をつける簡単なアニメーションを制作します。 なお、今回はマテリアル設定の基本色(Base Color)を変更します

制作するアニメーション

制作例 - マテリアル設定によるアニメーション -

立方体のメッシュの基本色が白色から赤色、さらに青色に変化します。 フレーム数は100とし、1フレーム目は白色、50フレーム目は赤色、100フレーム目は青色です。

作業の概要

特定のフレームに基本色の設定をアニメーション情報として記録していきます。 具体的には、

  1. 1フレーム目に基本色は白色というアニメーション情報を記録
  2. 50フレーム目に基本色は赤色というアニメーション情報を記録
  3. 100フレーム目に基本色は青色というアニメーション情報を記録

という作業を行います。

  
Blenderでは、アニメーション情報が記録されたフレームのことを『キーフレーム』と呼びます。
  
これ以降は、アニメーション情報を記録していくことを『キーフレームを登録する』と表現します。

なお、簡単なアニメーション3DCGの制作 > アニメーションの概要で説明したように、Blenderはフレーム間の変化を補間します。 今回の例では、1フレーム目、50フレーム目、100フレーム目のみにキーフレームを登録しますが、それ以外のフレームは自動的に補間されます

アニメーションをつける

では、実際にアニメーションを制作しましょう。 Blenderの新規ファイルを元にしてアニメーションを制作します。 トップバーのプルダウンメニューの"File" -> "New" -> "General" を実行して新規ファイルを開きましょう

キーフレームを登録する

では、キーフレームを登録しましょう。 まずは、1フレーム目のキーフレームを登録します。 1フレーム目は、白色の基本色をキーフレームとして登録します。

まず、対象フレームを選択します。 これから1フレーム目での作業を行いますので、対象フレームを 1 にする必要があります

フレームの選択は、画面下部のTimelineのヘッダに配置されている、対象フレームから行います。 対象フレームが 1 になっていることを確認し、なっていなければ 1 に変更します

1. 対象フレームを 1 にする
1. 対象フレームを 1 にする

上図のように対象フレームを 1 にします。 なお、キーボード操作でもフレームを進めたり、戻したりすることができます。 キーボードのカーソルキーの左右(←→)で前のフレーム / 次のフレームに移動します。

続いて、基本色を白色に設定します。

2. オブジェクトモードで立方体のメッシュを選択
2. オブジェクトモードで立方体のメッシュを選択

上図のようにオブジェクトモードで立方体のメッシュを選択します。 続いて、Propertiesのタブをマテリアルのプロパティを編集するためのタブに切り替えます

3. Material Propertiesタブをクリック
3. Material Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのMaterial Propertiesタブをクリックします

4. Material Propertiesタブに切り替わる
4. Material Propertiesタブに切り替わる

上図のようにMaterial Propertiesタブに切り替わります。

本来なら、ここでマテリアルの選択を行います(マテリアルスロットの一覧から対象のマテリアルを選択します)。 しかし、今回は新規ファイルを利用していますので、マテリアルは1つしかありません。 そのため、マテリアルは自動的に選択状態になっており、手作業でマテリアルを選択する必要はありません

  
メッシュが複数のマテリアルを持っている場合のみ、対象のマテリアルを選択する作業が必要となります。

では、基本色の変更を行います。 基本色の変更は、SurfaceパネルにあるBase Colorで実施します。

5. Base Colorのカラーフィールド(色の部分)をクリック
5. Base Colorのカラーフィールド(色の部分)をクリック

上図のようにSurfaceパネルのBase Colorのカラーフィールド(色の部分)をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

6. カラーピッカー
6. カラーピッカー

上図のようにカラーピッカーが表示されますので、[RGB]ボタンを選択し、R・G・Bともに 1.0 を設定します

7. 基本色が白色に変更される
7. 基本色が白色に変更される

上図のように基本色が白色に変更されます。 これでキーフレームを登録する準備ができました

対象フレームは 1 に、基本色は白色になっています。 この状態でキーフレームを登録しましょう。

8. 基本色のカラーフィールドを右クリックする
8. 基本色のカラーフィールドを右クリックする

上図のようにSurfaceパネルのBase Colorのカラーフィールドをマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。

9. 1フレーム目の基本色のキーフレームを登録
9. 1フレーム目の基本色のキーフレームを登録

上図のように"Default Value"というタイトルのメニューが表示されますので、"Insert Keyframe"を実行します

  
今は使用しませんが、同メニューにある"Delete Keyframe"でキーフレームを削除することができます。

これで、1フレーム目に立方体のメッシュの基本色のキーフレームが登録されました。 キーフレームが登録されたかどうかは、カラーフィールドの枠の色で判断することができます

10. キーフレームが登録されていると黄色の枠で囲まれる
10. キーフレームが登録されていると黄色の枠で囲まれる

上図のようにキーフレームが登録されると黄色の枠で囲まれます。 黄色の枠は、このデータ項目のキーフレームが現在のフレームに登録されていることを表しています。

  
カラーフィールドの場合は黄色の『枠』ですが、他のデータ項目では黄色の『背景』で表現されます。

ではここで、画面下部のTimelineに注目してください

11. Timelineの1フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれる
11. Timelineの1フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれる

上図のようにTimelineの1フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれています。 これは、1フレーム目にキーフレームが設定されていることを示しています。


続いて、50フレーム目のキーフレームを登録します。 50フレーム目は、赤色の基本色をキーフレームとして登録します。

ただし、基本色の変更はまだ行わないでください。 現在は、1フレーム目が選択されていますので、まずは対象フレームを 50 にします

  
先にフレームを切り替えるのは、基本色の変更を行った後にフレームを切り替えると基本色が白色に戻ってしまうためです。 現時点では、1フレーム目にしかキーフレームは登録されていません。 そのため、Blenderの自動的な補間の結果によって、2フレーム目以降は1フレーム目と同じ白色の基本色が適用されることになります。 それにより、50フレーム目に切り替えたと同時に基本色が白色に戻ります。

では、対象フレームを 50 にします。

12. 対象フレームを 50 にする
12. 対象フレームを 50 にする

上図のように対象フレームを 50 にします。 ではここで、基本色のカラーフィールドに注目してください

13. 他のフレームにキーフレームが登録されていると緑色の枠で囲まれる
13. 他のフレームにキーフレームが登録されていると緑色の枠で囲まれる

上図のように基本色のカラーフィールドの枠の色が、黄色から緑色に変化しています。 緑色の枠は、このデータ項目のキーフレームが他のフレームに登録されていることを表しています。

黄色の枠は現在のフレームにキーフレームが登録されていることを表しています。 緑色の枠は他のフレームにキーフレームが登録されていることを表しています。

  
カラーフィールドの場合は緑色の『枠』ですが、他のデータ項目では緑色の『背景』で表現されます。

では、作業に戻りましょう。 対象フレームが 50 になっていること確認し、基本色を赤色に変更します

14. 基本色を赤色に変更する
14. 基本色を赤色に変更する

上図のように基本色を赤色に変更します。 では、50フレーム目のキーフレームを登録しましょう。

15. 基本色のカラーフィールドを右クリックする
15. 基本色のカラーフィールドを右クリックする

上図のようにSurfaceパネルのBase Colorのカラーフィールドをマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。

16. 50フレーム目の基本色のキーフレームを登録
16. 50フレーム目の基本色のキーフレームを登録

上図のように"Default Value"というタイトルのメニューが表示されますので、"Insert Keyframe"を実行します

これで、50フレーム目にもキーフレームが登録されました。


最後に、100フレーム目のキーフレームを登録します。 100フレーム目は、青色の基本色をキーフレームとして登録します。

17. 対象フレームを 100 にする
17. 対象フレームを 100 にする

上図のように対象フレームを 100 にします。

対象フレームが 100 になっていること確認し、基本色を青色に変更します

18. 基本色を青色に変更する
18. 基本色を青色に変更する

上図のように基本色を青色に変更します。 ではここで、基本色の枠の色に注目してください。 枠の色がオレンジ色になっています

枠の色がオレンジ色なのは、設定値が変更済みであるにも関わらずキーフレームが登録されていないためです

  
本来なら50フレーム目で基本色を赤色に変更した時点でも枠の色がオレンジ色になったはずです。 しかし、不具合なのか、枠の色は緑色のままでした。 なお、50フレーム目でも赤色でなく他の色に変更していれば枠の色は変化します。

では、100フレーム目のキーフレームを登録しましょう。

19. 基本色のカラーフィールドを右クリックする
19. 基本色のカラーフィールドを右クリックする

上図のようにSurfaceパネルのBase Colorのカラーフィールドをマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)でクリックします。

20. 100フレーム目の基本色のキーフレームを登録
20. 100フレーム目の基本色のキーフレームを登録

上図のように"Default Value"というタイトルのメニューが表示されますので、"Insert Keyframe"を実行します

これで、100フレーム目にもキーフレームが登録されました。

21. Timelineの1・50・100フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれる
21. Timelineの1・50・100フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれる

上図のようにTimelineの1・50・100フレーム目の位置に黄色の菱形が描かれています。 1・50・100フレーム目にキーフレームが設定されていることがわかります。

アニメーション出力

ここまでの作業で、各フレームにキーフレームが登録されました。 次に、フレームの再生範囲と出力形式の設定を行なって、実際にアニメーションを出力します

フレームの再生範囲と出力形式を設定する

まずは、フレームの再生範囲を設定します。 初期状態では1フレーム目から250フレーム目が再生範囲に設定されていますので、これを修正し、1フレーム目から100フレーム目が再生されるようにします。

Propertiesを出力用のタブに切り替えます。

1. Output Propertiesタブをクリック
1. Output Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのOutput Propertiesタブをクリックします

2. Output Propertiesタブに切り替わる
2. Output Propertiesタブに切り替わる

上図のようにOutput Propertiesタブに切り替わります。 では、フレームの再生範囲が 1 から 100 になるように設定しましょう

3. フレームの再生範囲の設定
3. フレームの再生範囲の設定

上図のようにFrame RangeパネルにあるFrame StartとEndでフレームの再生範囲を指定します。 Frame Startを 1 に、Endを 100 に変更します。

続いて、アニメーションの出力形式を設定します。 簡単なアニメーション3DCGの制作 > アニメーションの概要で説明したように、Blenderで制作したアニメーションは動画としても、1コマごとの静止画としても出力することができます。 ここでは、動画を出力するものとして説明を行います。

まず、FormatパネルにあるResolution X・Y・%で解像度を指定します。 初期状態では解像度がFull HD(1920 x 1080)の100%、つまり、1920 x 1080で出力されます。 解像度を変更する必要があれば、これらを変更します。

4. 解像度を設定
4. 解像度を設定

上図のように解像度を設定します(上図は初期状態のままです)。

次に、Outputパネルの出力ファイル欄で出力ファイル名、または、出力フォルダ名を指定します。

  
ファイル名を指定することも、フォルダ名を指定することもできます。
  
ファイル名を指定した場合は "mymovie-0001-0100.mkv" のように、指定したファイル名に開始フレームと終了フレームを表す数字が付加されたファイル名で出力されます。
  
フォルダ名を指定した場合は "0001-0100.mkv" のような開始フレームと終了フレームを表す数字のみのファイル名で出力されます。

初期状態では\tmpフォルダが指定されていますが、それでは使い勝手が悪いのでデスクトップ等に変更しましょう

5. 出力先フォルダの指定
5. 出力先フォルダの指定

上図のように出力先フォルダをデスクトップに変更します。

最後に、ファイル形式を指定します。

6. ファイル形式の指定
6. ファイル形式の指定

上図のようにOutputパネルのファイル形式選択リストで"FFmpeg Video"を選択します。

  
"FFmpeg Video" は動画圧縮規格の1つです。

アニメーションのプレビュー

実際にアニメーションをファイルに出力する前に、3D Viewport上でプレビュー表示してみましょう。 簡易的な表示ですが、狙ったアニメーションになっているかを確認することができます。

まず、3D Viewport内のシェーディング(陰影計算)の設定を変更します。

1. シェーディングをレンダードモードに切り替える
1. シェーディングをレンダードモードに切り替える

上図のように3D Viewportのシェーディングをレンダードモードに切り替えます。 レンダードモードは、実際のレンダリング結果に近い結果が得られるモードです

続いて、視点をカメラ位置へ移動します。 キーボードのテンキーの0を押してください

2. 視点がカメラ位置へ
2. 視点がカメラ位置へ

上図のように視点がカメラ位置へ移動します。

では、3D Viewport上でプレビュー表示してみましょうキーボードのスペースキーを押します

3. アニメーションが再生される
3. アニメーションが再生される

上図のように3D Viewport上でアニメーションが再生されます。 再生される範囲は、指定した通りの1フレーム目から100フレーム目までです。 なお、アニメーションは繰り返し再生されます

  
再度、キーボードのスペースキーを押すと、アニメーションの再生が一時停止します。
  
キーボードのESCキーを押すことで、アニメーションの再生を中止することができます。

アニメーションのレンダリング

では、最終的なレンダリング、つまり動画ファイルの出力を行います。

1. Render -> Render Animationを実行
1. Render -> Render Animationを実行

上図のようにトップバーのプルダウンメニューの"Render" -> "Render Animation"を実行します(またはキーボードのCTRL + F12を押します)。

  
キーボードのCTRL + F12を押すことで、どのエリアからでも、またどのモードからでもレンダリングを開始することができます。
2. レンダリング処理が開始される
2. レンダリング処理が開始される

上図のようにレンダリングウィンドウが開き、レンダリング処理が開始されます。 なお、レンダリングウィンドウの左上に表示されている "Frame:99" の数字部分がレンダリング済みのフレーム番号です

  
PCの性能によってはレンダリング結果が表示されるまでに時間がかかることもありますが、辛抱強く待ってください。

レンダリングウィンドウは自動では閉じません。 レンダリングが完了したら(Frame:100になったら)レンダリングウィンドウを閉じてください。

出力された動画ファイルの再生

Outputパネルの出力ファイル欄で指定したフォルダ(例:デスクトップ)に動画が出力されているはずです。 ファイル名は、0001-0100.mkvのように開始フレームと終了フレームが含まれるファイル名になっています。

出力された動画ファイルを、お好きな動画再生ソフトで再生してみましょう。

  
VLC Media Playerであれば、今回出力した "FFmpeg Video" 形式のAVIファイルを再生することができます。

制作例

以下は制作例です。 最初に紹介したものと同じ映像です。

制作例 - マテリアル設定によるアニメーション -
  

補足しておきたいこと

この記事で実施したアニメーション制作の作業に関してもう少し補足しておきます。

各データ項目のキーフレームはショートカットキーでも登録できる

この記事では、基本色などのデータ項目のキーフレームを、マウスの右ボタン(マウスの右ボタン)を押すことで表示されるメニューから登録しました。

実は、データ項目のキーフレームは、キーボード操作でも登録することができます。 データ項目の上にマウスカーソルを置いた状態でキーボードの I (アイ)を押すとキーフレームが登録されます。

  
キーボードのALT + I (アイ)を押すことでキーフレームを削除することができます(選択中のデータ項目の現フレームのキーフレームが対象)。
  

まとめ

Blenderでは、アニメーション情報を記録することを『キーフレームを登録する』と表現します。

Timelineで対象フレームを指定し、動きや変化をつけてからキーフレームを登録します。 基本色などのデータ項目をマウスの右ボタン(マウスの右ボタン)で押すことで表示されるメニューから"Insert Keyfram"を実行することでキーフレームを登録することができます。

キーフレームが登録されているデータ項目は、枠(または背景)の色が変化します。 現在のフレームにキーフレームが登録されている場合は黄色に、他のフレームにキーフレームが登録されている場合は緑色に変化します。 また、登録されたキーフレームはTimelineで黄色の菱形として表示されます。

なお、データ項目を変更したにも関わらずキーフレームが登録されていない場合は、枠(または背景)の色はオレンジ色になります。

キーフレームの登録を終えたら、フレームの再生範囲とアニメーションの出力形式を設定します。 まず、Frame Rangeパネルでフレームの再生範囲を設定し、次にFormatパネルとOutputパネルでアニメーションの出力形式(解像度、出力ファイル名、ファイル形式)を設定します。

キーボードのスペースキーを押すことで、3D Viewport上でアニメーションを再生・一時停止することができます。 また、キーボードのESCキーを押すことで、アニメーションの再生を中止することができます。

操作/コマンド 説明
スペースキー 3D Viewport上でアニメーションを再生・一時停止する
ESC 3D Viewport上でのアニメーション再生を中止する

キーボードのCTRL + F12を押すとアニメーションのレンダリングが開始されます。

操作/コマンド 説明
CTRL + F12 アニメーションのレンダリング
 
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