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UV展開

  

メッシュをUV展開してUV展開図をUVマップに格納する

体のメッシュ "Body" をUV展開し、UV展開図をUVマップ "Body" へ格納します。 UV展開とは、3次元の情報であるメッシュを展開し、2次元の座標に対応させる作業をいいます。 組み上げたペーパークラフトの模型を平面に戻す作業のようなもの、と考えていいと思います。

UV展開
UV展開

なお、UVマップの "U" はテクスチャの横座標、"V" は縦座標を表します。 メッシュは X / Y / Z の3次元の座標を持ちますが、テクスチャは U / V の2次元の座標を持ちます。

  
『UV座標』は別名『テクスチャ座標』とも呼ばれます。

UV展開

では、UV展開を実施しましょう。 まずは、UV展開に適したワークスペースに切り替えます。 ワークスペースとは、定義済みの画面レイアウトのことです。

  
Blender 2.7系までは『スクリーンレイアウト』と呼ばれていましたが、2.8系から『ワークスペース』という名称に変更されました。

つまり、画面レイアウトをUV展開向けのものに切り替えよう、ということです。 UV展開を行うにはUV Editorが必要ですが、現在のワークスペースには3D Viewport、Timeline、Outliner、Propertiesしかありません。

1. ワークスペースをUV Editingに切り替える
1. ワークスペースをUV Editingに切り替える

上図のようにトップバーにあるワークスペース切り替えタブの "UV Editing" をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

2. ワークスペースがUV Editingに切り替わる
2. ワークスペースがUV Editingに切り替わる

上図のようにワークスペースがUV Editingに切り替わります。 画面左部にUV Editorが新たに出現し、3D Viewportは狭くなっています。 また、下部にあったTimelineは消えています。

注目すべき点は、3D Viewportのモードがオブジェクトモードからエディットモードに切り替わっていることです。 UV展開はメッシュの面を選択して実施するため、エディットモードに自動的に切り替わりました

次に実施するのは、UV展開する面の選択です。 UV展開は、選択中の面しか展開しません

後ほど作成するテクスチャは、マテリアル "Body" が割り当てられている面にのみ貼り付けます。 つまり、マテリアル "Body" が割り当てられている面のUV展開図があればよく、鼻の面のUV展開図は不要です

よって今回は、マテリアル "Body" が割り当てられている面のみを選択すればいいというわけです。 では、Propertiesのタブをマテリアルを操作するための "Material Properties" タブに切り替えましょう。

3. Material Propertiesタブをクリック
3. Material Propertiesタブをクリック

上図のようにPropertiesのMaterial Propertiesタブをクリックします

Material Propertiesタブに切り替わりますので、マテリアル "Body" を選択します。

4. マテリアルスロットの一覧から "Body" を選択する
4. マテリアルスロットの一覧から "Body" を選択する

上図のようにマテリアルスロットの一覧から "Body" を選択します。

続いて、メッシュを全選択解除します。 キーボードのALT + Aを押します

5. 全選択解除される
5. 全選択解除される

上図のように全選択解除されます。 では、マテリアル "Body" が割り当てられている面を選択しましょう。

6. マテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押す
6. マテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押します。

7. マテリアル "Body" が割り当てられている面が選択される
7. マテリアル "Body" が割り当てられている面が選択される

上図のようにマテリアル "Body" が割り当てられている面が選択されます。 つまり、鼻以外の面が選択されている状態です。 これで、UV展開したい面のみを選択することができました

ではここで、UV Editorに注目してください。

8. 選択中の面が展開される
8. 選択中の面が展開される

上図のように枠が表示されています。 この枠がUV展開図であり、メッシュと同じく頂点・辺・面で構成されています。 なお、このUV展開図はBlenderが適当に準備したものであり、犬の置物の形とはかけ離れています

ではUV展開を行いましょう。 キーボードのUを押します。

9. Unwrapを実行
9. Unwrapを実行

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Unwrap"を実行します。

  
UV展開方式にはいくつもの種類がありますが、今回はUnwrapでUV展開します。 Unwrapは人間や動物向けの展開方式です
10. UV展開図が置き換えられる
10. UV展開図が置き換えられる

上図のようにUV展開図が置き換えられます。 Unwrap展開方式によってUV展開された新たなUV展開図です。 今までのUV展開図よりは犬の置物の形に近いですが、人間が見てUV展開図のどの部分がメッシュのどの面に対応しているかを予想するこは困難です

BlenderまかせのUV展開では、このように人間が見てわかりやすいUV展開図にはなりにくいです。 わかりやすいUV展開図を作成するには、ちょっとした工夫が必要になります。 その工夫とはシーム入れです

シームは、辺に入れる縫い目(切れ目)のことです。 UV展開時に、シームを入れた辺でUV展開図が分断されます。 つまり、シームを入れることでUV展開図をある程度制御することができるようになります。

今回は、(1)前足と胴体の境界、(2)後ろ足と胴体の境界、(3)尻尾の付け根の3箇所にシームを入れます。 それにより、(A)前足・(B)後ろ足・(C)尻尾・(D)それ以外の4つの塊に分断されます。

また、前足と後ろ足には縦にシームを入れます。 足をペットボトルに例えると、剥がしたペットボトルのラベルのようにUV展開させるためです。

シームを入れる前にメッシュの透過をオンにします。 その方が選択しやすいためです。 ただし、3D Viewportが狭くなったため透過ボタンは見えないと思います。 その場合は、3D Viewportのヘッダをスクロールする必要があります。

11. 3D Viewportのヘッダをスクロールする
11. 3D Viewportのヘッダをスクロールする

上図のように3D Viewportのヘッダをマウスの中ボタン(マウスの中ボタン)でドラッグします。 3D Viewportのヘッダは2段ありますが、透過ボタンのある上段をスクロールさせましょう。

  
ヘッダ上でマウスのホイール(マウスのホイール)を回転させることでもスクロールすることができます。
12. ディスプレイとシェーディング関連の項目群が見えるようになる
12. ディスプレイとシェーディング関連の項目群が見えるようになる

上図のようにディスプレイとシェーディング関連の項目群が見えるようになります。

13. 透過ボタンをオンにする
13. 透過ボタンをオンにする

上図のように3D Viewportのヘッダの透過ボタンをオンにします

続いて、辺選択モードに切り替えます。 シームは辺に入れる縫い目であるためです。

14. 辺選択モードに切り替える
14. 辺選択モードに切り替える

上図のように辺選択モードに切り替えます。

では、前足と胴体の境界にシームを入れます。 シームを入れるには、対象の辺を選択しておく必要があります

15. 前足と胴体の境界を選択する
15. 前足と胴体の境界を選択する

上図のように前足と胴体の境界を選択します。 このようにぐるっと辺を4本とも選択してください

では、シームを入れます。

16. Edge -> Mark Seamを実行
16. Edge -> Mark Seamを実行

上図のように3D Viewportのプルダウンメニューの"Edge" -> "Mark Seam"を実行します。

  
キーボードのCTRL + E -> "Mark Seam" でも実行することができます。
17. シームが入り辺の描画色が変化する
17. シームが入り辺の描画色が変化する

上図のように辺の描画が変化します。 オレンジ色に加え、赤色でも描画されています。 赤色は、その辺にシームが入っていることを表します

  
3D Viewportのプルダウンメニューの"Edge" -> "Clear Seam"を実行することで、選択中の辺からシームを取り除くことができます。 キーボードのCTRL + E -> "Clear Seam" でも実行することができます。

ではシームを入れる作業を続けましょう。

18. 後ろ足と胴体の境界にシームを入れる
18. 後ろ足と胴体の境界にシームを入れる

上図のように後ろ足と胴体の境界にもシームを入れます。

次は、前足と後ろ足への縦のシーム入れです。

19. 前足と後ろ足に縦のシームを入れる
19. 前足と後ろ足に縦のシームを入れる

上図のように前足と後ろ足に縦のシームを入れます。

最後に尻尾の付け根にシームを入れます。

20. 尻尾の付け根にシームを入れる
20. 尻尾の付け根にシームを入れる

上図のように尻尾の付け根にもシームを入れます。 シームを入れる作業は、これで全て完了です

では、UV展開するメッシュの面を選択し直しましょう。 まずは、全選択解除のためキーボードのALT + Aを押します。

21. 全選択解除される
21. 全選択解除される

上図のように全選択解除されます。 次に、UV展開する面を選択します。

22. マテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押す
22. マテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押す

上図のようにマテリアルスロットの一覧の下にある[Select]ボタンを押します。

23. マテリアル "Body" が割り当てられている面が選択される
23. マテリアル "Body" が割り当てられている面が選択される

上図のようにUV展開したい面のみを選択することができました。 鼻以外の面が選択されている状態です。

では、再度UV展開を実行しましょう。 キーボードのUを押します。

24. Unwrapを実行
24. Unwrapを実行

上図のように"UV Mapping"というタイトルのメニューが表示されますので、"Unwrap"を実行します。

25. UV展開図が置き換えられる
25. UV展開図が置き換えられる

上図のようにUV展開図が置き換えられます。 見づらいですが、4つの塊に分かれていることがわかります。 なお、それぞれの塊のことをアイランドと呼びます。

  
日本では『島』とも呼ばれます。

では続いて、アイランドとアイランドの間隔を広げましょう。 その方が見やすくなるためです。 アイランドとアイランドの間隔は、すでに説明した事後調整で実施します

26. Unwrapパネルの表示切り替えボタンをクリック
26. Unwrapパネルの表示切り替えボタンをクリック

上図のようにUnwrapパネルの表示切り替えボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

27. Marginを0.2に修正する
27. Marginを0.2に修正する

上図のようにUnwrapパネルが展開されますので、Marginを 0.2 に調整しましょう。 Marginをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックし、キーボードから0.2に修正してEnterキーで確定します

28. アイランドとアイランドの間隔が広がる
28. アイランドとアイランドの間隔が広がる

上図のようにアイランドとアイランドの間隔が広がります。 Marginでは、アイランド間の余白を指定することができます。

では、これでUnwrapパネルを折りたたみます。

29. Unwrapパネルの表示切り替えボタンをクリック
29. Unwrapパネルの表示切り替えボタンをクリック

上図のようにUnwrapパネルの表示切り替えボタンをマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックします。

ではここで、少し脱線してUV展開図の加工方法についての概要を説明しておきます。 UV展開図はメッシュと同じく頂点・辺・面で構成されており、メッシュと同じ感覚で操作することができます

30. ツールバーと各種選択モードボタン
30. ツールバーと各種選択モードボタン

上図のようにUV Editorの左端にはツールバーがあります。 また、ヘッダには頂点 / 辺 / 面 / アイランド選択モードボタンがあります。

これらのツールやボタンを利用することで、メッシュと同等の操作が行えます。 なお、アイランド選択モードは、アイランド全体をまとめて選択するモードです

続いて、UV連動選択についても説明しておきます。 この機能をオンにすると、UV EditorでのUV展開図の選択とメッシュの選択が連動するようになります

ではここで、メッシュを全選択解除してみてください

31. メッシュを全選択解除する
31. メッシュを全選択解除する

上図のようにメッシュを全選択解除します。 全選択解除したこの状態で、UV Editorには何が表示されているでしょうか。

32. 何も表示されていない
32. 何も表示されていない

上図のようにUV Editorには何も表示されていません。 標準設定では、メッシュで選択されている部位のUV展開図のみがUV Editorに表示されます。

では、UV連動選択をオンにしてみましょう。

33. [UV Sync Selection]ボタンをオンに
33. [UV Sync Selection]ボタンをオンに

上図のようにUV Editorのヘッダにある[UV Sync Selection]ボタンをオンにします。

34. 選択されていない部位のUV展開図も表示される
34. 選択されていない部位のUV展開図も表示される

上図のようにメッシュで選択されていない部位のUV展開図も表示されるようになりました

ではここで、メッシュの特定の部位を選択してみましょう。

35. 首まわりの辺を選択する
35. 首まわりの辺を選択する

上図のように首まわりの辺を選択します。 UV Editorではどのように表示されるでしょうか。

36. UV展開図でも選択中の部位がオレンジ色で表現される
36. UV展開図でも選択中の部位がオレンジ色で表現される

上図のようにUV Editorでも選択中の部位がオレンジ色で表現されるようになりました。 このように、UV連動選択をオンにすることでメッシュの面とUV展開図の位置関係の対応が理解しやすくなります

現状どうなっているのか

体のメッシュ "Body" がUV展開され、展開情報がUVマップ "Body" に格納されました。 ただし、イメージはまだ作成していないためイメージへの関連付けはありません

  

エディタタイプの切り替え

少し話が脱線しますが、ここでエディタタイプの切り替えについて説明しておきます。

この記事では、ワークスペースをUV Editingに切り替えました。 目的は、UV展開するためにUV Editorを表示させる必要があったからです。

しかし、ワークスペースを切り替えなくてもUV Editorを表示させることが実はできたのです。 既存のエディタ(3D Viewportなど)をUV Editorに切り替えるという方法です。

  
今回実施したように、UV展開するためにワークスペースをUV Editingに切り替えるのは自然な操作であり、正しい操作です。
エディタタイプの切り替え
エディタタイプの切り替え

上図のように各種エディタのヘッダの左端には(1)のエディタタイプ選択リストがあります。 この(1)のエディタタイプ選択リストをクリックし、表示される(2)の一覧から別のエディタタイプに切り替えることができます

  
Blenderには様々な種類のエディタが用意されており、エディタの種類(エディタタイプ)は自由に変更することが可能です。
  

まとめ

ワークスペースを "UV Editing" に切り替えることで、UV展開の作業がやりやすくなります。 ワークスペースとは、定義済みの画面レイアウトのことです。

それぞれのエディタは、ヘッダの左端のエディタタイプ選択リストで別のエディタタイプに切り替えることができます。

UV展開するには対象のメッシュの対象の面を選択しておく必要があります。 UV展開は、キーボードのUで実行します。

操作/コマンド 説明
U
-> "Unwrap"
選択中の面をUV展開してUVマップに格納する
※展開方式はUnwrap

なお、Blenderまかせで作成したUV展開図は人間が見てわかりやすいものではないため、辺にシームを入れるなどの工夫が必要です。 シームを入れた辺はUV展開図で分断されます。

操作/コマンド 説明
(3D Viewportのプルダウンメニュー)
"Edge"
-> "Mark Seam"
選択中の辺にシームを入れる
(3D Viewportのプルダウンメニュー)
"Edge"
-> "Clear Seam"
選択中の辺からシームを取り除く

UV Editorの[UV Sync Selection]ボタンをオンにすることでUV連動選択が有効になり、メッシュの面とUV展開図の位置関係の対応が理解しやすくなります。

なお、UV展開図はメッシュと同じく頂点・辺・面で構成されており、メッシュと同じ感覚で操作することができます。

 
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